地殻変動が起きているメディア環境を観察し、そこで流通するコンテンツを批評
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22:52:34
 今回は日本のテレビ番組、ジャンル的にはドラマとバラエティ番組に見られる独特なスタイルや構成についてまとめてみる。簡潔に言えば、他国のドラマやバラエティ番組とは異なる点が散見され、そのことが海外展開を阻害するとも考えられる。もちろん、それらの点は日本の番組しか見ていないと気付きにくい点だが、それゆえに外国出身者にはよく指摘される点であり、「ここが変だよ、日本のテレビ番組」みたいな企画やれば必ず出てくる点だろう。日本で独自の進化を遂げるも国際競争力を欠いた日本製携帯電話を揶揄して「ガラパゴス化した携帯=ガラケー」と呼ぶことが一般化したが、テレビ番組も同様で、独自の進化を遂げる一方で、他国の番組の標準とはかけ離れた、いわば「ガラ番」と呼ぶにふさわしいものになってきている。
 まずはドラマだが、日本のドラマの話数はワンクール(3か月分、だいたい11~12話)が標準である。面白かろうが、つまらなかろうが、稀に途中打ち切りはあるものの、大体それくらいの量だ。それに比べると外国のドラマは概して話数が多い。拙著『韓国で日本のテレビ番組はどう見られているのか』にも書いたが、話数の多い・少ないに対する視聴者の反応は様々だ。日本のドラマは「終わるのが早すぎる」という声もあれば、「話が凝縮されていて良い」という意見もある。より話数が多い外国のドラマに対しては逆に、「だらだら話を引っ張り過ぎ」という声もある。ただし、視聴者ではなく、ドラマを購入して放送する側にとっては、話数は多い方が絶対にいい。仮に月曜~金曜の5日間で1話ずつ放送したなら、日本のドラマは3週間分もなく、視聴習慣が固定されてくる頃には、もうそのシリーズは終了となってしまう。買う側は概して、他の条件が同じならば、全12話のドラマ2シリーズよりは、全24話のドラマ1シリーズを好む傾向にある。
 日本のドラマの他の特徴は、テレビで人気がある芸能人(必ずしも俳優に非ず)を中心に作られている点であるが、そのために演技経験や演技力が不足したアイドル、タレント、歌手、芸人、元スポーツ選手などが重要な役柄を務める作品も少なくない。しかし、こういったドラマはそのアイドルや芸人を知っているから楽しめるのであり、その人たちを知らないと「なぜこんな下手な人が主役なんだ」と捉えられかねない。例えばアイドルを全面的にフューチャーしたドラマの場合、彼・彼女の知名度が高いであろう一部アジア市場を除き、悲しいくらいに作品の商品力は低くなる。脚本が面白いわけでもなければ、俳優には知名度も実力もないのだから。ちなみにこの真逆にあるのが、アメリカのドラマだと個人的には思う。ストーリーはよく練られているし、ドラマ出演者は著名な映画俳優に比べて馴染みない人が多いが、演技は押しなべて上手い。
 ドラマ以上に海外で苦戦を強いられるのが日本のバラエティ番組である。「バラエティ番組」とは本来、歌あり、コントあり、寸劇ありといった、各種の芸を寄せ集めたような番組を指した。文字通り、varietyであり、あえて言えば『Smap×Smap』が近いような気がする。ただ、アメリカではそういった番組自体が絶滅しつつある。一方、今日の日本でバラエティ番組として捉えられるような、スタジオにタレントや芸人が大勢集まって騒ぐという、お笑い要素が強い番組は、恐らく日本で開発されたもので、日本のテレビ文化の影響を受けた東アジア以外の多くの国では見られないものであり、そのスタイル自体が多くの国の視聴者には違和感がある。
 さらに、日本のバラエティ番組の重要な要素である「笑い」であるが、トークを注意して聴いてみると、他の有名人の話、楽屋オチ、最近の社会現象などがネタになっていることが多い。ところが、それらの題材に関してある程度の知識がないと、笑うどころか、一体何の話かも理解できないのである。果たして日本のバラエティ番組のトークのネタが外国人に受けるだろうか。それじゃなくても、文化が異なれば、笑いの質も異なることは広く信じられている。
 あと、日本のバラエティ番組はスタジオ部分もVTRも相当細かい編集をしたうえで、字幕スーパーとかBGMとか効果音とか足しまくっている。かつて自分が担当していたから言うわけではないが、日本のバラエティ番組の「作りこみ方」は恐らく世界で類を見ないものだと思う。外国で娯楽番組を見ると、もっとボーっとした感じだ。とにかく日本のバラエティ番組は、良く言えば明るく賑やかだが悪く言えばうるさくて、また計算されているものの見ていて疲れる。しかも海外に売るとなると元々番組に入っている日本語のスーパーの上に現地語の字幕を入れたり、あるいは前回書いたようにBGMは使えなかったりするわけで、再び編集したり音処理する必要がある。手間がかかるし、その分のコストもかかる。買う側にとっては購入を躊躇する要因にはなる。(続く)
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大場吾郎

Author:大場吾郎
大学教員であり、メディア研究者。専門は映像メディア産業論やコンテンツビジネス。元々は某キー局勤務。
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