地殻変動が起きているメディア環境を観察し、そこで流通するコンテンツを批評
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23:11:41
 BSフジで4月から月曜夜10時に放送していた『東京ラブストーリー』が昨夜終了した。1991年1月~3月の放送以来、恐らく何度も再放送され、DVDも販売されているが、今回実に21年ぶりにじっくり見てみた。ちなみに本放送当時、僕は大学4年生。ドラマの登場人物たちとはほぼ同世代と言ってもよく、勝手に親近感を抱いている。
 1991年と言えばバブル景気が縮小し始めた頃である。それまで家でテレビ見てるよりは外にいた方が楽しいことがあると思っていた若者たちが、少しずつ遊びを自粛し始めた。特に週初めの月曜日は在宅率が高く、そこで若者をターゲットにしたドラマをやるわけだが、それまでの1980年代後半に隆盛を極めた「楽しけりゃOK」的な明るくて軽い作品は、世の中の空気とずれ始めている。『東京ラブストーリー』が大ヒットしたのは、主要人物が「見た目は美男美女なんだけど、性格や行動は極めて真面目で純朴な点」にあったのではないだろうか。プロット上、固定電話(ケイタイに非ず)やカンチの田舎が非常に重要であるわけだが、それらのアイテムも考えてみれば相当地味だ。
 よく『東京ラブストーリー』はトレンディドラマの代表作のように言われる。トレンディドラマが何なのか明確な定義はないと思うが、しかし、あの地味さとトレンディはどう考えても相容れないような気がする。「こういうライフスタイルがナウい」的な発信も全然ないわけだし。しかし一方で、『東京ラブストーリー』には、あっけらかんとした明るさはないが、変な暗さもない。この後、ヒットドラマとしてはドロドロした恋愛ドラマや倒錯モノも出てくるわけだが、そういった作品に見られる重さや暗さは微塵もない。とにかく普通のことを、鈴木保奈美や織田裕二や江口洋介が演じている(さすがに演者まで地味だと、ドラマとしては問題ありだろう)。
 バブル末期とはいえ、その先に「失われた10年」が来るとは知らず、まだ微熱がくすぶっていた頃だ。「少し経てば景気は回復するだろうし、とにかく前向きに明るくしてよう、でもバカ騒ぎはもうおしまい」みたいな時代の空気が、『東京ラブストーリー』には漂っている。
 ちなみに『東京ラブストーリー』はその後、海を越え、1990年代半ばには台湾や香港でも大ヒットする。成功要因として、「カンチ、セックスしよう」という有名なセリフに代表される赤名リカの「男性に対して積極的なキャラクター」が、それらの国・地域で好意的に受け入れられたと指摘された。そして『101回目のプロポーズ』や『ロングヴァケーション』、『やまとなでしこ』あたりが続く。台湾人の友人とKTV(カラオケ)に行ったら、月9テーマソング縛りみたいになってしまったことが懐かしい。そういう「海外で日本のドラマが人気」といった話題も聞かなくなって久しいな。 
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Author:大場吾郎
大学教員であり、メディア研究者。専門は映像メディア産業論やコンテンツビジネス。元々は某キー局勤務。
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